ぼくのネタ帳

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映画「ターミネーター:ニュー・フェイト」/ 若返りCGと不気味の谷【冒頭部分のネタバレあり】

11月8日(金)公開の映画「ターミネーター:ニュー・フェイト」を見てきた。

面白かった。シリーズでは1・2作目の次に好き。下の記事でつまんなそうとか言ってすみませんでした。


細かい感想は置いといて、映像がすごいなと思った。冒頭で、「ターミネーター2(1994)」のエンディング直後と思しきシーンがあるのだけど、そこで出てくる25年前のサラ、ジョン、T-800(シュワちゃん)の若い姿が超絶リアルだった。本当に、「2」のすぐ後に撮影したみたいだ。あれにはたまげた。

どうやって撮ったのかと調べてみると、別の役者が演技をして、その顔にCGを当て込むという方法らしい。サラ役のリンダ・ハミルトンは下のインタビューで、自分のスタントの演技に満足がいかず悔し泣きした、なんて言っているが、そんなことどうでもいいくらいに若返りCGがすごすぎる。

 

技術の進歩はすごいなあと思う。ターミネーターシリーズでは、直近の2作品でもシュワちゃんがCGで若返っていたが、そちらは正直違和感バリバリだった。

 

ターミネーター4(2009)」では大人になったジョン・コナーとT-800(新品)が対決した。音楽も合間ってかっこいい登場シーンではあるのだが、如何せん肌の質感とか、目つきとか、絶妙におかしい。ゲームでこのキャラが出てきら、うわ〜リアル!とはしゃげるレベルにはすごい。でも実写の役者と一緒に映ると明らかに浮くレベルには変だった。ついでにいうと、二人のバトルをカメラ越しに見ているサム・ワーシントンの表情も、いつ見ても奇妙で面白い。自分のせいでジョンが死にかけて焦っている場面なのに、なんか笑ってるように見える。

 

ターミネータージェネシス(2014)」は、前作と比べて相当な進歩が伺えた。肌の質感については違和感ない。でも目が何だか変だ。このシーンは1984年の一作目の冒頭をなぞっているので、そちらと見比べると「変さ」がよりわかりやすくなってしまう(意地悪な見方をしてごめんなさい)。これはそもそも作り手の描き方の問題だけど、T-800にしては動きがキビキビしすぎなのも違和感がある。T-800はゆっくりどっしり、でも確実に目標に向かって動き続けるところがかっこいい(あるいは怖い)のに。

「ジェニシス(2015年)」のシュワちゃん。変だ。

こっちがオリジナル、1作目(1984年)のシュワちゃん。いやー、やっぱりかっこいいなあ。潜入用サイボーグのはずなのにはち切れんばかりに膨れた筋肉、小麦色に染まった肌などはちゃめちゃに目立つ風態なのはご愛嬌。目の焦点が微妙に合ってないのはこちらも同じなのに、CGと何が違うんだろう。

 

不気味の谷」という言葉がある。

CGや絵などで人間をリアルに描く際に、一般にリアルさが高まるほど好感度も高まるのに、ある地点を越えると唐突に嫌悪、恐怖などマイナスの印象を覚えるという現象のことだ。

 

ターミネーターシリーズは長らくこの不気味の谷をさまよっていたが、ようやく脱した感がある。ハリウッド映画全体で見ても、これはなかなか意義のあることではないかと思う。 CGで描いたキャラを実写に違和感なく登場させるという挑戦は、ハリウッドが幾度となく繰り返してきた(そしてぼくの見る限りはだいたい失敗してきた)ことだから。いよいよ技術が志に追いついてきたということなんだろう。

 

ぼくは見てないんだけど、たぶん「ジェミニマン」のCGウィル・スミスもすごいんだろうな。ただ、そもそもウィル・スミスはもともと若々しいから、CGで若い姿がどれほどよく出来ていても、驚きは少ないのではと思う。

 

うーん。。やっぱりあんまりすげーとはならないような。。むしろいまだに20歳の頃とほとんど変わらないウィル・スミスの方がすごい。

 

そこへ行くと「ターミネーター:ニュー・フェイト」は、現実のリンダ・ハミルトンシュワちゃんはシワシワだし、エドワード・ファーロングはこれ(↓)なので、ギャップがすごかった。

 

今時はCGで何でもできてしまうだけに、「映像一発で驚ける」という作品は少なくなったと感じていた。でも今回のように、「いないはずの人が"明らかに"いる」という使い方なら、まだまだ驚けそうだ。