映画『シャザム!』/ ネタバレ感想
『シャザム!』を観てきた。
(Yahoo!映画あらすじ)
少年が最強のヒーローに変身し騒動を巻き起こすコメディー。DCコミックスの異色ヒーロー、シャザムをドラマシリーズ「CHUCK/チャック」などのザカリー・リーヴァイが演じるほか、『キングスマン』シリーズなどのマーク・ストロング、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』などのジャック・ディラン・グレイザーらが出演。『アナベル 死霊人形の誕生』などのデヴィッド・F・サンドバーグがメガホンを取った。
予告編はこれ。
点数:60点
そんなに悪くないのだけど、どこか物足りない。
DCの中では『ワンダーウーマン』の次に好き、くらいの位置付け。
物足りない理由は以下。
①主人公が能力をもらえる展開に納得がいかない
旧シャザムはこれまで子供たちをさらっては理不尽なテストを課して、トラウマを与えてまで自分の後継者を探していた。なのに、主人公はさしたる理由もなく純粋な心があるってことで能力を与えられてしまう。(直前にいじめっこを攻撃したのは、「親がいない」っていう発言にむかっときただけで、「純粋な」人助けではないですよね?)
結局は旧シャザムが敵キャラ(しかも自分が作り出した)登場に焦って、適当に選んだ子供に能力を与えたということ。これじゃあこれまでテストで不適を言い渡された子供達が浮かばれないよ。
②シャザム(変身後の主人公)がまともに人助けするシーンがない
バスのシーンはマッチポンプ的に自分の火消しをしたにすぎないのでノーカウント。ヒーロー映画なので、人の役に立って大活躍、というシーンは最低限欲しいところ。遊園地の観覧車シーンが唯一人命救助かな。。?あれも戦闘に巻き込んでしまった感は強いけれど。。
③主人公は母親とはぐれたことをどう思っていたの?
小さい頃母とはぐれて以来会っていない、ということになっているのだが、そんなことが起こる状況って、
(1)捨てられた OR (2)母は何らかの事件に巻き込まれた
しかないと思うのだが、主人公はどういうつもりで母を探しているのかが全く描かれない。やっと再会した時にも、運悪くはぐれたけどやっと会えたね、みたいな嬉しそうな表情をする。はぐれた直後ならそれもわかるけど、彼の年齢なら「運悪く」はぐれて、その後ずっと会えないわけがないことくらいわかるはずだ。(1)の可能性はないと思い込もうとしているとしても、君は今どういう気持ちなんだ?と置いていかれた気持ちになる。
上記の点が好みでなかったのだけど、良いところもあった。
①ふつうに怖いシーンも多い
冒頭の事故やら、悪役の親・兄に対する復讐シーンなどは、わりとショッキングな描写を逃げずにやっていて良いと思った。あくまでもそれなりに大人が見るための映画というつもりなのがわかった。
②シャザムの変身が爽快
「シャザム!」って叫ぶのが良い。特にクライマックスの遊園地での変身シーンはよかった(シャザーム!と叫ぶと煙の中から変身後が現れるのがかっこいい)。
③兄弟たちも変身するサプライズ展開
面白かった。ただ個性は意外と少なかったので、その後思ったほど盛り上がりはしなかった。
④役者の魅力
主人公二人(子供・大人)や兄弟たち、マーク・ストロング、みんなよかった。
思い返しても、やっぱり全体としてそんなに悪くはないのだ。でも、『2』があってもそれほど見たくはないかな、と思う。少し前に見た『アベンジャーズ:エンドゲーム』が規格外の大作だったので、ちょっと分が悪い比較対象になってしまった感はある。
あと、無邪気な少年が超能力を得る「ジュブナイルもの」×「スーパーヒーローもの」という系譜でも、『スパイダーマン:ホームカミング』の方はずっとずっと面白い傑作だったので、そちらとも比べてもかなり見劣りした。エンディングの切り方とか、明らかに直接的な影響を受けているので、これは致し方なしかと思う。
DCはそろそろ本気で傑作を出してほしい。
ジェームズ・ガン監督の『スーサイド・スクワッド2』とか、この間予告編が公開された『ジョーカー』なんかは、すごく良さそうなので、今度こそ、と期待している。
追記:ブルーレイが出ました。映画会社さんは、いい加減DVDとセットで売るのをやめてほしい。同じ値段でもいいから、DVDはつけないでほしい。コレクションとしてブルーレイを買っている方はわかってくれると思うのですが、全く使わないものがもれなく付属するのってちょっとイヤなのです。