ぼくのネタ帳

映画や日々の考えについて書いてます。

アンネのこと

アンネの日記』が読み終わらない。

もうかれこれ1ヶ月くらい、こればっかり読んでいる気がする。

 

読み終わらない理由は簡単だ。

 

 

理由① 長いから

アンネの日記は長い。

京極夏彦の本みたいに、常識を超えて長いというわけではないが、普通の文庫本の1.5倍くらいはある。

ゆえに、当然普通の本よりは読むのに時間がかかる。

 

理由② つまらないから

いつも2〜3ページ読んだら眠ってしまう。

ぼくはいつも寝る前に本を読むのだけど、アンネの日記は、それはもう強烈な、睡眠導入剤なのである。

今日は何だかテンション上がってて眠くないや、という日でも、アンネの日記を開くや、途端にうとうとしてきて、目が同じ行を行ったり来たり彷徨いはじめる。

つまらないのだ。

今、なんとか1/3程まできたが、とにかくいつまでたってもつまらぬ。

 

擁護するわけではないが、ぼくは明らかにアンネの日記のターゲット層ではないと思う。

Amazonなどのレビューでアンネの日記のページを見ると、かなり高い点数がついてる。

ほめるひとの意見は、ざっくり以下の2通りだ。

 

⑴歴史的価値がある

アンネの日記には、第二次大戦中にナチス統治下のオランダで生きたユダヤ人少女の、日々の思いが綴られている。

食料の配給制度や、当時の人々がラジオからの情報を頼りにどう戦況を理解していたか等の描写が、随所にさしはさまれる。

そういう意味で、記録としての価値は大いにあるのだろう。

ぼくは残念ながら、そういったことにそれほど興味を惹かれない。

歴史好きや学者なら面白いのかもしれない。

 

⑵思春期の娘に読ませたら面白く読んでいた

これも非常に多いパターンだ。

どうせレビューした本人は読んでいない。

読んだ娘が面白いと言っていたので、良い本だ、ということらしい。

上記の通りアンネの日記には当時の生活の描写が多く入っているが、それ以外に書かれていることといえば、とにかく愚痴である。

同居人たちとの軋轢にストレスを溜めこんでいる一人の十代の女の子の、愚痴に次ぐ愚痴、これが延々続く。

おまけにこの隠れ家での生活には、とにかく変化がない。

同じような日々の繰り返しだ。

面白い出来事も滅多にない。

だから、アンネほどの天才物書き少女でも、さすがに内容が単調にもなるのは避けられない(そう、たしかに天才ではあると思う。10代で、変化のない日々からこれだけ「読める」ものを書けるって、素直にすごい。)

仕方ないんだ。

逆にぼくは、ユダヤ人少女の隠居生活を記録した日記に、一体何を求めていたんだ?

この愚痴に共感できるひと、つまり十代のストレスを抱えた少女(現役でも過去形でも)には、きっとこれが面白いのだ。

 

でも、ほんとのことを言うと、「娘が夢中で読んでいた」系レビューにはきな臭いものを感じる。

親からすれば、うちの子、こんな長い歴史的なものを読めて偉いでしょ、てなもんなのであろうが、その子ほんとにこの本読んだのか?

あなたが読め読めと言うから、読み終わったことにして適当に感想を述べたにすぎないのでは?

 

だって、1/3しか読んでないぼくだって、このまま単調な日常が最後まで続くことくらい想像がつく。

娘さんたちも、適当なところで切り上げたのではないか?

 

ぼくに面白みが感じられないから、こんな邪推をすることになるのかもしれぬ。

 

この本を(歴史の記録としての価値は抜きにして)すき、というひとは、一体どういう点を気に入ったのだろう。

話を聞いてみたい。

 

面白いことに、Amazonのレビューを見ても、純粋に読み物としてどう楽しんだかを書いている人はいないのである。

ひょっとしてみんな、罪悪感や義務感だけで読み切ったか、もしくは読み切ったふりをしてるだけなんじゃないのか?と邪推してしまうぼくは、心が汚れている。

 

こっちが勝手に読みたいと思って買ったのだ。

アンネはぼくに読めなんて言っていない。

それを忘れてはならぬ。

 

さて、今日もアンネの日記を読もう。

読み終わるまでにあとどのくらいかかるんだろう・・・?

次に読みたい本なら山ほどある。

 

少し読んで気に入らないなら、諦めて別の本を読むべき、というアドバイスもよく聞くが、この本に関してはそうではないのだ。

あくまでぼく個人の考えだが、ぼくは多分一生、この本を面白いと思うことはない。

いくら待っても、自分の人生においてこの本を読むのに良いタイミングというのはこないと思う。これは直感に近い。

多分、もしそういうタイミングがあったとすれば、それはアンネと同じ中学生くらいの年代だったのだ。

だからぼくは、アンネの日記をつまらないまま読み切るか、あるいは一生読み切らないか、の二択をせねばならない。

ぼくの選択は前者だ。

 

一生に一度は読んでおきたい。

最後まで読んで結局つまらなかった、でもいいから、感想を持っておきたい。

つまらなかったことだけでも多くの人と語り合えるくらい、この本が捉える射程は広いはずだ。

世界中で、それはもうめちゃくちゃ読まれているんだから。

 

それに、世の中のいろんなことに言えるが、つまらない=役に立たないではない。

乙女の心理を学んだことが、いつか役にたつやもしれぬ。

 

そんなわけで、おやすみなさい。